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新・私の教材試論(52)

Dscf8743▼私はずっと空を捜していた。「雲見」の定点観測をする空である。3月末までは、とてもすばらしい空があった。雲の発生も見事に観察できる空であった。天気の記録も残しながら楽しかったし、多くを学んだ。
これはぜひとも継続したかった。それに替わる空を捜していた。
 いろいろ迷ったが、もっとも簡単なのにすることにした。家を出てすぐの門先から見上げた南の空にすることにした。しばらくしてまた変えるかもしれないが、これで当分いってみる。
▼教材試論をつづける。
昨日書いた田所美惠子さんの文章はほんとうに参考になる。
知りたかった「歴史」が見事に語られている。
それを参考にプロットしてみる。

○紀元前4世紀 中国思想家墨子「影が倒立するのは光が一点で交わって生ずるからである。理由は端(点)に ある。」(「経下」「経説下」)
○紀元前4世紀 アリストテレス「樹木の厚い葉を通して、そのすき間から日食の像が地面に投影される」
○1020年頃 アラビアの科学者 アルハーゼン 「針穴」現象を『光学』に記す。
○1425年 フイレンツェの建築家兼技術者 フィリポ・ブルネレスキ 「タヴレッタ」発明 「 一点投視法」の始まり
○15世紀後半 レオナルド・ダ・ピンチ 「太陽に照らされた建物の正面、または広場や空き地に面して住まいが建っており、太陽を免れた正面の部分に、小さな丸い穴を開けると、太陽が照らしているすべての物体は、この穴を通して像を正確に伝え、家の内側の相対する壁ーそれは白いはずだがーに見ることができる。それはまさにそこにあるが倒立している。」手記『光学』
「これらの光の正体が、異なる色や形であるなら、その像もさまざまな色合いと形となり、壁にも同様に描写される。」
○1544年 ゲマ・フリシウス 日食観測に使った装置 図つきで発表
○ケプラー(1571~1630) 装置を「カメラ・オブスキュラ」(暗箱)と命名
○16世紀末 ナポリの物理学者 ジョバンニ・バッティスタ・デッラ・ポルタ カメラ・オブスキュラにレンズ使用(他説あり)
○18世紀 レンズ付きカメラ・オブスキュラが非常に発達 「携帯」「一眼レフ」
○1839年。画家ルイ・ジャック・マンデ・ダゲール(フランス) カメラ・オブスキュラが結んだ像や影を定着させることに成功。「写真」の発明

ならべてみると、「カメラ・オブスキュラ」の歴史が概観できた。ありがたい!!
▼田所さんの文章で感動したのは「歴史」がわかりやすく書かれていると言うだけでない。
19世紀末以降の「針穴」の復権にふれての文章「たかが「穴」されど「穴」」のなかで次のように書かれている。

…一九六〇年代後半から、あらゆる既成の価値観が大きく揺らいだ先進国では、写真の分野においても、レンズの価値観にかわるものを模索する動きとして、針穴が再評価されはじめました。
 つまり、さまざまな高度技術によりブラック・ボックス化してしまったカメラに対する反逆として、または、それにより技術オンチにされることのに対する反発として、より純粋なもの、より本質的なものが求められはじめたのです。
それよりもさらに成熟が進んだ今日の社会では、この傾向はますます強くなってきています。
物質的膨張主義はすでに敬遠され、知的、美的、精神的な充足が重視されるようになり、それとともに、針穴写真の人気が高まっています。
 いわば源泉への回帰ですが、針穴写真はなにも精神性やアート面だけに寄与するものではありません。
針穴が再評価されているのもうひとつの分野は科学の分野です。…(同書 p22より)

私は、圧倒されるおもいでこの文章を読んだ。
▼私のすぐれた「教材」の法則の意図するところの全てが語られいるではないか!!
・3K(簡単・感動・きれい)1A(安全)の法則
・3H(ホット・本質的・ホンモノ)の法則
なんでその道のプロたちは、意図も簡単に本質を見抜いているものなんだ。
 ただ、ただ感動するのみである。
著者は「針穴」の復権の科学分野の例として2つあげておられる。
・原子物理の世界でのX線、ガンマ線など高エネルギー分子を捕らえるのにひと役買っている。
・天文学の世界で、宇宙ロケットに乗せられた針穴カメラが、太陽黒点観測などに活躍。
である。
 田所さんの文に出会ったおかげで、私は強く強く思うようになった。

科学教育(理科)のなかでこそ「針穴」の復権を
と。

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