【授業】「アタリマエ」は科学の敵だ!
▼昨日の朝も、校庭の定期コースに出ようとした。そしたら、いちばんに飛び込んできたのは黄色くなったケヤキの葉と高い青空であった。なんとみごとな!
秋だ!!
今シーズン一番の冷え込みを忘れて、そこに立ちすくでしまった。
やがて、「ふしぎ!?」が生まれてきた。ケヤキの葉は何をしているんだろう。
秋になったのだから、黄変はアタリマエ、でも初夏、校舎のなかからのあの「緑」を思い出すと、
何をしているだろうと訊いてみたくなるのである。
アタリマエで終わらずに。
▼水圧から「浮力」への実験をしているときのことだ。
バネばかりに砂の入った試験管をぶら下げてメスシリンダーの水のなかに入れていく実験である。
水に浸かる体積が増えるに従って、「浮力」が大きくなることを知って欲しいと思った。
ひとりの生徒が言った。
別にふざけているわけではないようだ。
「先生、このバネばかりおかしいです」
「えっ」
「これ、だんだん小さくなってしまうんです。」
私は、一瞬なんのことかよくわからなかった。
私のなかで「浮力」はアタリマエにしてしまっていたのだ。
その「浮力」の大きさをみる実験だと思っていた。
この生徒は、今、「浮力」を発見した瞬間だったのだ。
それは、後からゆっくり考えたこと。咄嗟には
「とりあえず、その見たままノートに書いといて…」しか出てこなかった。
▼難しいものである。
アタリマエで終わらせると、「ふしぎ!?」の謎解きである科学を遠ざけてしまう。
せっかくの「発見」もつぶしてしまう。
ときには、このアタリマエ!が科学の敵にもなる。
だから…
まだ、答はみつからない。
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コメント
理科教室12月号に書いた内容です。
物体にはたらく重力が、支える手や、ばねはかりにかかるという誤解。それを破る場合として浮力(外力)が加わる場合と加速度が加わる場合をとらえようという趣旨です。
ばねはかりを引く力は、重力ではなく物体がばねはかりを引く力なのですよね。空気中では、生徒の誤解は顕わにならないが、2つの場合にはとたんに困ります。
投稿: 理科大好き人間 | 2011/10/26 07:19
理科大好きさん
コメントありがとうございます。
自分の授業報告にコメントいただくかたちで教えていただいたことよくわかります。
「誤解」とはこのことを言っておられたのですね。
なるほど「誤解」していますね。
「重さ」がさらに面白くなりますね。やっぱりけっこう奥が深いですね。
また、よろしくお願いします。
投稿: 楠田 純一 | 2011/10/27 06:06