「自由研究」発表に学ぶ。
To see a World in a Grain of Sand And a Heaven in a wild Flower Hold Infinity in the palm of your hand And Eternity in an hour一粒の砂に世界を
一輪の野の花に天界を見る
あなたの手のひらに無限を
ひとときに久遠をとらえる
▼このイギリスの詩人William Blakeの『Auguries of Innocence』の冒頭の一節を、森山和道さんは『クマムシを飼うには 博物学から始めるクマムシ研究』の「まえがき」で引用している。そして語る「砂粒一つにも世界を見出すことができるーそれは実に楽しいことですし、人生を豊かにすると私は信じています。」と。
▼夏休み明けて数日がたつ、生徒たちの「自由研究」が出そろったところで、いよいよその自由研究の発表をひとりひとりやってもらった。
自由研究で見えてきた世界の楽しさ・面白さを披露してもらった。
(1) なぜその「ふしぎ!?」は生まれたのか。(動機)
(2) 「ふしぎ!?」の謎解きをどのようにしたのか。(方法)
(3) 「ふしぎ!?」はどこまできたのか。(結果)
(4)この研究の面白さ、楽しさはどこにあるのか。(考察、展望)
特に、(4)を重点的に発表するように指示をした。
▼その発表を聴かせてもらいながら、私自身とても学ぶところ、気づくことが多かった。
そのいくつかをあげてみる。
●等身大の「ふしぎ!?」、等身大の科学が面白い!
中学に入学してまもないころ、私の「ふしぎ!?」をあげた。それは、ほんとうに面白かった。中学理科のすべてを語っているように思った。「自由研究」のネタもここにあるのでは、と話していた。
その通りにした生徒もいたが、新たな「ふしぎ!?」をテーマにした生徒もいた。
そのいずれもが、くらしのなかで「ふしぎ!?」に思ったことをテーマにしているものが多かった。
発表後、相互評価ということでベスト3を選んでもらったが、そこでも評価の高かったのは、等身大の「ふしぎ!?」、等身大の科学をテーマとするものだった。
●ネットの活用で、「自由研究」新時代をむかえている。
インターネットの普及で、自由研究のテーマ選び、方法も変わってきている。
「インターネットで調べて…」と、前置きする報告が多くなってきている。これは、こちらの予想をはるかに越えて進んできているのかも知れない。
かつて「図書館の本で調べて…」は、「ネットで検索して…」というのは常識化しつつあるのかも知れない。
うれしいことに単なる「コピペ」というのは、いっときのこと思えば少なくなっている。
相互評価のなかでは、それはあまり高く評価していないようである。それでこそ…。
次は、発表の方法も新時代をむかえていくだろう。
●「自由研究」は授業とつながっている。
今年の傾向のひとつだ。1学期に「植物の世界」「光の学習」をやっていた。その授業のつづきで、植物や光の「ふしぎ!?」と関連したものが多くあった。それは授業者としてはうれしい限りだった。
その他にも、これはぜひ、その単元を授業するときに取り上げたい研究だなあ、と思うものが多くあった。
理科の授業と理科の「自由研究」とつながっている。アタリマエのことだけど、とってもうれいことだ。
●「自由研究」では物化生地のすべてがつながっている。
これまたアタリマエのことだが、自由研究はもともと「物理」「化学」「生物」「地学」と分かれているわけではない。これは、上記の「授業とつながっている」ことと一見矛盾するようであるが、そうではない。
自然の「ふしぎ!?」は、もともと分かれてあるわけではないのだから当然のことである。
そこが、自由研究の醍醐味でもあるのだから…。
まだまだある。あらためて学んだことの多い発表会だった。
さあ、今度は「授業」だ!!
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