2009年「私の読んだ本ベスト5」
▼2009年も、ついに後地球が2回転するだけになった。昨日には、年賀状も出し終えた。こんなにはやく出してしまうなんて、いつものろまの私に驚異的なことだ。年賀状を出しにいったついでにホームセンターによって、かねてより目をつけていた双眼鏡を買ってきた。前からもっていたものを職場がかわったりするなかで紛失してしまっていたのである。そこで、元旦の月食をみるために欲しかったのだ。
年賀状をはやく出してしまった自分への「褒美」に買ってしまったのだ。ホームセンターで売っている程度のものだから、特別のものではない。でも星空・月みるとき、ちょっと欲しかったのだ。
夕方になって、かなり大きくなってきた月をみて、「アタリマエ」に感動した。
「やっぱりほんとうに球だ!!」「元旦が満月だから、ずいぶんと丸くなっている!!」
思わず、それを画像におさめようと、デジカメを近づけて撮ってみた。
三脚もなんにもなし、手で支えてだ。そんなのうまく行くはずはなかった。でも楽しかった。
▼2009年の「私の重大ニュース」の方は、昨日までで終わっている。
もうひとつ例年やっていることがある。読んだ本のことである。この一年間のblogから拾いあげてみようと思う。
今度は、「重大ニュース」とちがって順番をつけてみよう。
題して「私の読んだ本ベスト5」である。
▼私は本読むときに、ちょっとだけ気にしている私なりの流儀をもっている。
ふたつある。
●本は、私の文脈のなかで読む。
●読む本は、「イモヅル式」にみつけていく。
「消費」としての読書はまたちがうだろうが、「生産」としての読書では、こうありたいと思っている。
前置きは、これぐらにしてベスト5冊(正確には8冊)を本棚からひっぱり出してならべてみた。
【ベスト1】 『寺田寅彦と現代~等身大の科学をもとめて~』(池内了著 みすず書房 2005.1.21)
この本は、それこそ私の文脈で読むのにピッタリの本だった。ここで繰り返し語られている。「等身大の科学」「新しい博物学」こそ、私が求めていたものだ。これからこのふたつをより「私の場合は」にひきつけて模索していきたいと思っている。今年出会った本のなかでは飛び抜けてベスト1!!である。
【ベスト2】 ツイッター本4冊
『仕事で使える!Twitter超入門』(小川浩著 青春出版社 2009.10.5)
『ツイッター 140文字が世界を変える』(コグレマサト+ いしたにまさき著 マイコミ新書 2009.10.20)
『Twitter社会論』(津田大介著 洋泉社 2009.11.21)
『Twitter革命』(神田 敏晶著 ソフトバンク新書 2009.11.24)
私は、9/23にecochemさんのおすすめもあり、Twitterなるものはじめた。ちょうど世間でもTwitterが大ブレークしだした。それにあわせるように「ツイッター本」と言われるような本の出版があいついだ。
登録はしたものの右も左もわからぬなかで、いろいろ試してみながら平行して、相次いで出てくる本に目をとおしてみた。この4冊、出版された順番に読んでみた。
Twitterの面白さを、ちょっとずつ違ったかたちで書かれていた。Twitterの醍醐味については共通した事例があがっていた。それは当たり前のこと。語り口調に著者の思い入れのちがい、これまでの経験などが現れていてそれも面白かった。私の文脈で読むなら
・『Twitter超入門』は、用語のていねいな説明などから、タイトルのとおりだと思った。
・『140文字のが世界を変える』では、Twitterの可能性ということを考えるようになった。それから、Twitterが特別に新しいものでなく、Web、SNS、blogと地続きのものであることを感じさせてくれた。「これはパソ通回帰だ!!」と思い出したのは、この本を読んだ頃からである。
・『Twitter社会論』「tsudaる」の本家本元が書いた本、それだけにTwitterが使えるものであることを語るのに説得力がある。「tsudaる」は、ジャーナリストだけに有効なのでない。教育現場・研究においてもきわめて有効な手法である。著者の言う「リアルタイム性」「伝播力の強さ」などが、教育の問題と無縁であるわけがない。
・『Twitter革命』「今、なぜTwitterなのか」をいちばん熱く語っている本だ。変わるかも知れない未来を予感させる。
【ベスト3】 『動的平衡』(福岡伸一著 木楽舎 2009.2.25)
私は、それこそイモズル式にこの著書を、昨年から読んでいる。いつしかその世界に惹きこまれいくその文体のみごとさな感動すらする。「動的平衡」の概念についても、著者がずっと語ってきているところであるが、このタイトルのままが本になったら読まずにおれなかった。「ウィルス」についても著者はどう語っているか。興味ぶかいところだった。また、何度か読み返してみよう。『世界は分けてもわからない』においても作風は変わらなかった。
【ベスト4】 『南方熊楠』(鶴見和子著 講談社学術文庫 1981.1.10)
世に名著というものがあるという。この本は名著として名高い。名著だから読むというのでは、ヘソマガリな私は認めたくない。また「私の文脈で読む」と主義にも反する。
でもこの本については、これを引っ込める。やっぱり、ほんとうに名著だ。それを認める。
熊楠を語った本としては、これ以上のものはないだろう。そんなたくさんのもの読んだわけではないけれど、そう思う。鶴見さんこそが「鶴見マンダラ」を持っているからこそ書けたものなんだろう。
再々訪の前には、また読み直してみようと思う。
【ベスト5】『切っても 切っても プラナリア 新装版』(阿形清和著 土橋とし子 絵 岩波書店 2009.6.4 )
名著と言えば、この本も名著として名高い本である。以前からずっとこの本を読みたかった。ネットで探しても絶版になっていた。古書店では驚くような値がついていた。図書館で探してもなかなかみつけることができなかった。この夏、偶然にもあのコウガイビルが、著者の著作当時の研究室へ私を連れて行ってくれた。あの渡辺憲二先生の研究室だ。そのプラナリアも見せてもらった。ますます、この本が読みたくなった。
そしたらネットにうれしい情報が流れていた。この本の新装版が「復刻リクエト」に応えて出版されているという。
すぐ取り寄せた。ワクワクしながら、ページをあけた。予想通りだった、いや予想をはるかに超え面白かった。
これは、子ども向けの本のようになっているが、子どもだけではない、むしろ大人が読む方が面白いかも知れない。「生命とは」「再生とは」「iPS細胞とは」…その「ふしぎ!?」を楽しみたい人、科学研究携わる人すべてに読んで欲しい。そして科学研究を続ける人には、ぜひぜひ自分の分野でこんな本・こんな「名著」を書いて欲しい。
以上が今年の「私のベスト5」だ。来年はどんな本と出会えるだろう。楽しみである。
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