【授業】遺伝で何をおしえるのか
▼昨日は、朝から雨だった。枯れかけたヒガンバナに雨は哀れである。その盛りの燃え立つ姿を重ねてみるからなおさらであろう。
▼ながく遠ざかっていた授業の再開である。【細胞と生殖】のもっともねらいとする「生命とは!?」に向けて急ピッチで思考していく。中学校に帰ってきた「遺伝」。
そこで何をどのように教えればよいのか。自らの頭の整理をつづける。
▼ビデオ『生命誕生』を見たひとりの生徒が書いた。
生命が生まれたとき、どこに「子孫を残そう」という知恵があったのでしょう。
私はそんなことが疑問に残りました。
この「ふしぎ!?」にどう答えるのか。これも、また私のひとつの課題となった。
▼最近、読みかけにしている『オンリーワン・ゲノム』(鎌谷直之著 星の環会)に「遺伝学の三大革命」のことが書いてあった。
○1900年 メンデルの法則の再発見(形の時代)
○1953年 ワトソン、クリックによるDNAモデル(分子の時代)
○2003年 ヒトゲノムの全配列解明(情報の時代)
この三つの革命がほぼ、50年ごとに起こっているという。
なるほど、説得力をもつ、「今」の時代をとらえ方だ。
「遺伝」で何を教えるのかについても示唆的である。
「遺伝」の「ふしぎ!?」を教える道筋を私なりに、もうすこし模索してみよう。
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コメント
遠い昔、幼い娘から「猿のようなものから人ができたとき、最初にできたのは男だったのそれとも女だったの?それとも突然、同時に男と女ができたの?」と聞かれたことがあります。
人でも類人猿でもないある生き物(A)の雄と雌が手をつないで同時にヒトになったということは考えられないが、Aの群れの中の1個体(雄雌どちらでもよい)がヒトの祖先(B)になってその遺伝子を持つ子孫が増えてゆき、ヒトの群れができた・・・・というような説明をしたのですが、納得はしてくれなかったようです。
仮に、チンパンジーと同じ2n=48の共通祖先から2n=46のヒトができたとすると、2本の染色体の融合は先ず1個体の生殖細胞に起こって、この個体の子孫には2n=48と2n=47が、そして孫世代以降に2n=46が出現したと考えられますね。この2n=46の雄と雌がペアーになって出発した子孫集団がヒトの始まりではないでしょうか。
質問した生徒さんへの回答には『"「子孫を残そう」という知恵”(自己増殖能力)が生命です』というのはいかがでしょうか。楠田さんはなんとお答えになりましたか?
投稿: リコリス | 2009/09/29 15:08
リコリスさん
コメントありがとうございます。
娘さんの質問するどいですね。
授業をやっていると、時々このような本質的な質問にであうときがあります。
そんなとき、冷汗をかきます。立ち往生です。
必死でない知恵をしぼります。これが、いつも後から考えてみると私の最高の学びの機会でした。
リコリスさんの書き込みみて、あわてて
リコリスさんの『多様性生物学入門』をひっぱり出してきました。「染色体と分子からみた類縁関係」「継ぐのは誰か」のところ読み直してみました。
この本にあらためて興味をもちました。
今回の生徒の疑問は、ビデオの感想文のなかに出てきましたので、まだ、答えを返してはいません。
リコリスさんの答えいいですね。参考にさせてもらいます。単元が終わりのころに、生徒と話をしてみたいと思います。
投稿: 楠田 純一 | 2009/09/30 05:46