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コウガイビルが生命科学最前線へ

Dscf0005▼最近は、毎朝の校庭の散歩をしていない。夏休み中であるからと、少し自分を甘やかしているのかも知れない。しかし、ホームページの表紙画像の「校庭の樹木シリーズ」は継続し、毎週更新しているので、それは数少ない枷のひとつである。そのこともあって、ときおり校庭を散策する。週末が近いので、校庭にでたついでに散策していた。そしたら、今週の表紙のアオギリの実が、さらに大きく変化(へんげ)していた。あの奇妙なかたちをした実が割れていたのだ。そして、種子が顔をだしていた。あれ一週間もたっていないのに、いつの間にという感じである。そう事態は、刻々と変化しているのである。そうだ!!「生命体」とは、時間とともに変化していくことこそが最大の証なのかも知れない。
▼昨日一日、20日の渡辺先生の講義の余韻のなかで、生活していた。時間のすきまをみつけて、ICレコーダーのイヤホーンを耳にさしていた。
 なんでもゆっくりな私は、こんな濃度の濃い話は、かなり反芻作業を経なければ理解できないのである。
板書の画像、メモ書き、用意してくださった資料プリントも照らし合わせながらの作業は、まだまだこれからである。
▼「記録」できていることについては、このあと「記録」によってやることにして、「記憶」だけの部分については、ここに書き込むことで記録しておかねば、どこかに行ってしまう。せっかくのものが消えてしまう。
講義を聴いて、ひつこく3つの質問をしたところまでは昨日書いた。
 その後だ。その後の展開は、3つ目の質問と関連していた。渡辺先生が編著者である『プラナリアの形態分化』をとりだして、コウガイビルの章を執筆された先生にコンタクトをとりたいということでの質問でありお願いであった。
「それは、すぐわかりますよ。今日でもわかりますよ」と答えてくださった先生は、研究室へもどった先生は、資料をコピーしてくださったのだ。
 私は、講義・質問への応答に、感動し満足しながら、学生食堂でひとり食事を済ませた。
つぎなる展開の偶然は、その後におこる。
▼食後のコーヒーを買って、食堂を出たときだった。そこに食事にこられた渡辺先生と再びお会いしたのだ。
そして先生は言われた。『今、コピーして持っていったのだけど、おられなかったので…』と。
ほんとうに即対応していただいたのだ。なんとありがたいことだ。
恐縮して私は言った『いや、今からとりにいかせてもらいます。』と。
そして、私は渡辺先生の研究室に行かせてもらうことになった。研究室にうかがうと、コピーをいただいて、そして先生はおっしゃった。
『せっかくだから研究室見ていきますか』と。
なんとありがたいことだ。生命科学最前線の現場をみることができるなんて。
▼まず最初は、現在の先生の研究対象動物「アフリカツメガエル」だ。成体、そのオタマ、そしてあのプラナリア
、プラナリアは「顕微鏡でみなければ…」と実際に顕微鏡で見せてくださった。すべてが解説つきである。
感動である。なんと私は、ラッキーなんだ。
まだまだある。別の「研究室」にも案内してもらった。
そこに例の機器・装置はあった。「遺伝子を増幅する装置」=PCRマシンである。
私は、咄嗟に理解していなかった。講義のなかでも、ふれられていた。(それは昨日録音を聞きながらわかったのだ)
 よく理解していない私は、今から考えるととんでもない質問を発していた。
『それは、簡単に言うとどういうことなんですか?』
渡辺先生にとっては、驚きだっただろう。こんなことも知らないのか、と。
でも先生の対応はちがっていた。
『それはね。図に書くと簡単なんだ』とメモ用紙をとってきて図を書きながら説明してくださった。少しだけわかった気分になった。「どこかで聞いたようなことだ」というのが、頭に残った。
 昨日、先生の書いたくださったメモ用紙をゆっくり眺めながら、反芻作業をしていて気づいた。
そうだ。福岡伸一著『生物と無生物』にでてきたあれだ。
キャリー・マリスのひらめきからつくられた「分子生物学に革命をもたらした」装置。
そのときは、結びつかなかった。本を読んで「知っている」なんてその程度のものなんだ。咄嗟に結びつけて考えることできないのである。
▼それにしてもありがたいかぎりだ。そんな最先端の装置を、それも研究者自らの解説つきで見せてもらえるなんて感動である。まだある、近くにお住まいの研究者の方とも会わせていただいた。
感動と感謝の連続である。
 講義では、「発生学の基礎の基礎から「ES細胞」「iPS細胞」の今 まで」の生命科学最前線を教えてもらい、
さらには、その研究の現場まで、解説つきで見せてもらうなんて…。
 それも、これもあの一匹のコウガイビルとの偶然の出会いからはじまった。

あのコウガイビルが、私を生命科学最前線に連れてきてくれたのだ。!!

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コメント

こんにちは。

>あのコウガイビルが、私を生命科学最前線に連れてきてくれたのだ。!!
一つの萃点ができましたね。

投稿: sakamoto | 2009/08/22 11:47

阪本さん
さっそくありがとうございます。
私には、もっともうれしいコメントです。
「萃点!!」そういうことなんです。

投稿: 楠田純一 | 2009/08/22 12:11

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