コウガイビルの「仮説」
▼今日で6月も終わりである。2009年も前半が終了である、くどく言えば地球は、太陽の周りを半周したことになる。そう考えると、流れてしまった時間に感慨ぶかいものがある。
この間ずっとつき合ってきたやつがいる。近くにいながら、同じように生命の営みを繰り返してきた生物=コウガイビルだ。昨年の11月14日が出会いの日だから、半年を越え、7ヶ月半である。
▼それは、驚異的な長さである。その間、まったく何も食べていないのだから、ますます驚異である。その長さの記録を文献、Webで調べてみるが、まだそんな記録に出会っていない。
そして、今日いよいよ授業に登場させる。ひとつのクラスでは、簡単にふれたが、本格的には今日からである。
【細胞と生殖】の最初に、こいつの「生命」にふれようというのである。
▼昨日は、その少し準備をした。といってもたいしたことできない。できない自分が少し悔しい。
この七ヶ月半のあいだに私のやったことは、ときどき「水を入れ替えた」ことと、ひたすらデジカメを向けたというだけだ。このままあの「クロイロコウガイビル」が消えたように消えてしまうのを待つのはくやしい。
そこで、妄想とも思えるような「仮説」をいくつかたててみた。思考することは可能だ。
持ち合わせの「知識」をフルに使って…。
▼【動物の世界】では、「食べる」こそ、動物の「ふしぎ!?」を解く第一方程式であった。だから、この方程式はここでも成り立つことが前提に考えてみる。
【仮説 その一】 コウガイビルはナイロン袋のなかに発生した緑色のなにかを食べていた。
ナイロン袋のなかに、緑色のなにかがある。意図して入れたわけではないが、発生している。無から有は生じるわけはない。そのプロセスが見えないだけで、どこからかやってきたのだ。水道水のなかにあったのだろうか。
それとも、コウガイビルのなかに宿していた「生命」なんだろうか。ここでもいくつかの「仮説」が必要となってくる。
しかし、それは置いておくとして、間違いなく「緑色のなにか」が存在する。これは事実である。
短命であった「クロイロコウガイビル」のときには、印象にない。(後で、画像で調べてみることにする)
「緑色のなにか」であれば、光合成という偉大なる作業で「栄養」をつくりだすことができる。その「栄養」をありがたくいただけばよい。ともかく、この「緑のなにか」を顕微鏡でのぞいてみた。私の知識では、これがなにものであるのかわからない。藻類だろうか。藍藻類というのもあったな。?(゚_。)?(。_゚)?
ともかくこれが葉緑体をもっていることは確かなようだ。
飢餓状態にあるコウガイビルが、草食とか肉食を越えてこの「栄養」を食べて生命の営みを続けた。というのが第一の仮説である。
【仮説 その二】 コウガイビルは自らを食べ続けた。
コウガイビルの口は身体の中心部に位置するらしい。この口は肛門でもある。排泄するのもここらしい。
だとしたら、自らのからだを「排せつ」するとき一端 消化管という<外部>へ出すが、それを消化管にあるあいだだに<内部>に取り入れいれる。ここでは、あくまで消化管は、<外部>である。
これは、これまでの学習に反することはことはない。それらもかぎりがある。<内部>にある物質にかぎりがあるのだから、だんだん体は小さくなっていく、当然のことである。あの「の」の字になって「眠ったふり」をしているときこそ、この営みを盛んにやっているときかも。
【仮説 その三】 ちぎれた自らの体を再び食べている。
ナイロン袋にいれたそのときから、すごく気になるものがある。当初はフンであろうと思っていたが、それを確かめる術もない。それは、体の一部がはがれたもののようにも見える。
ここからがシロウトのシロウトとたる所以というところである。仮説の仮説だ。
こいつ体はすごい機能をもっている。「再生」という機能だ。陸棲「プラナリア」なのである。驚異の「再生」力をもつらしい。絶食期はなおさらしい。
生物の究極の目標は「個体維持」と「種族維持」にあると教えられてきた。ここで、 この驚異の「再生」力を「個体維持」に傾けたら、自らからだをちぎって「餌」をつくったと考えたらどうだろう。
体全体に幹細胞が分布する。その働きを、ときには、「種族維持」にも使うが「個体維持」にも使う。
「再生」のメカニズムもよく知らないシロウトの仮説である。
しかし、なにか肉片のようなものがいくつも袋の中にできているのは事実である。
▼時間がきたのでこれぐらいにしておこう。こんなの生徒たちに話したら笑うかな。
この自然界には、わかっていることばかりではない。むしろわからないことの方が多いんだ。
その「ふしぎ!?」が面白いんだ。その誘い水ぐらいにはなるかも知れない。今日、話してみよう。
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コメント
こんにちは。
先週末、雨上がりに息子とカタツムリを探しに言ったのですが、そのときちょうどブロック塀の上を進むコウガイビルも観察することができました。
私もコウガイビルがずっと生きている原因について考えていました。
人間が食べ物を食べないと痩せていくのと同じ感じで、体内の養分を消費しているぐらいに考えていました。
【仮説 その一】について、私の中ではなんとなく理解しやすく、納得できました。
「生命球」、「平衡水槽」といわれる、エビと水草と水だけある閉じた水槽内で、生命活動を維持していける状態と似ていると思いました。
太陽光→水草が酸素を発生、水槽内に藻が発生→エビが藻を食べ糞をする→糞の養分を水草が吸収→…。といった感じでしょうか。
投稿: 津団 | 2009/07/01 05:44
おお!
コウガイビルに出会われましたか。
この報を待っていました。
コウガイビルの「ふしぎ!?」を一緒に追いかけてくれる人を待っていました。
「仮説その一」がやはり説得力ありますか。
ありがとうございます。
「生命球」「平衡水槽」の情報ありがとうございます。
以前から興味ありましたが、まだ手には入れていません。
津団さんは、もう手元にあるのですか。
すぐれた教材の可能性 持っていますよね。
投稿: 楠田純一 | 2009/07/02 05:37