【推薦本】『天気図がわかる』(三浦郁夫著)
▼昨日は、お昼近くなって「青空」がもどってきた。この時期の「青空」っていいですね。色がすこしうすい感じがする。濃い青ではない、それは大気が水蒸気を多く含んでいるからそうなっているんだろうか。
意識的に「雲見」をはじめてからもだいぶん日が過ぎてきた。
でも、まったく飽きることはない。だって「二度と同じ雲はない」、その瞬間、瞬間に更新されていっていると思うとすごい未知なるドラマを見ているようなものだ。
▼天気図も同じである。「人の指紋と同じように全く同じ天気図はないと言われます。」(P47)と語るのは西園寺さんこと三浦郁夫さんだ。
■『天気図がわかる』(三浦郁夫著 技術評論社)
ついにこの本を紹介するときがやってきた。実は、この本が発刊されたのは昨年の2月だった。私は発刊されると同時に、この本を購入した。西園寺さんのblogに書き込みもした。著者からの「感想聞かせてください」のコメントをもらっていた。
でもすぐさまは書かなかった。書けなかったというのが正しいのかも知れない。そのときは、授業からも遠ざかっていたし、なにか通り一遍の「感想」を書くのがもったいないような気がしたからだ。読むだけは読ませてもらっていた。そして、このときを待っていたのだ。
今なら、実感をともなって書ける。
▼最近、私はほんとラッキーな人間だと思うことがある。元々パソコンなどとは、まったく「縁のなかった」、と言うより「大の苦手」人間が、パソコン通信(なつかしい響きだ)をはじめて、【理科の部屋】で多くの人と知り合いになれて、人生最大の宝物=ヒューマンネットワークを手に入れた。それを生かして、授業づくりをやっていっている。
夢に描いたようなことを現実にしている。ありがたいかぎりだ。
西園寺さんとのおつき合いも、その典型だ。
ネットを介して、たくさんのことを教えてもらってきた。
たとえば、科学読み物「台風は水蒸気を食べて成長する」「雨粒の形と大きさ」などを書くときがそうだった。具体的にくわしくアドバイスをしてくださった。
▼世話になってきたのは「天気」のことだけではない。『私の【理科の部屋】活用法』に執筆してくださったり、パソコン通信が終焉をむかえたときには、「これから」を示唆してもらった。
この私にこのblogを勧めてくださったも西園寺さんだ。従ってトラックバック第一号は、もちろん西園寺さんだ。
深謝。<(_ _)>
▼本自体の紹介が後になってしまっている。
ひとことで言うのはむずかしいが、あえて言うなら西園寺さん(三浦郁夫さん)でなければ書けない本になっている。この道の現場最前線にいる三浦さんだから書けること、それが満載である。
第1章 天気図を読むための予備知識 ─ 記号の意味を理解する
第2章 季節に典型的な天気図を攻略 ─ 気圧配置と天気の関係
第3章 歴史的な天気図を読みといてみよう ─ 進化する天気予報
第4章 仕事で使う,専門天気図の読み方 ─ より深い理解のために
からなっている。
とりわけ、第3章、第4章が読みどころである。類書にないせまり方である。
第3章の「歴史的な天気図」というのが面白い、非常に興味ぶかい。ここに毎日、毎日「天気図」が書かれる意味が語られている。「天気図」を書いて未来予測をして災害を防ぐのである。防災・減災にこそ意味がある。
そして、天気予報も進化してきている。進化は進行形だ。
過去の記録「天気図」は、未来予測の大きな武器だ。
見えない大気の運動を可視化した天気図、歴史的な天気図。その読みとりのノウハウが語られている。
プロ中のプロの人だから、ツボを心得ている。アタリマエと言えば当たり前だが、それがすごい。
▼第4章もそうだ。一般的な類書で敬遠するところだ。ところが三浦さんはちがっていた。「プロが使う天気図」を解説してくれているのだ。これは、きっと三浦さんが、こんな面白いこと「ひとりじめ」するのがもったいないと思われたからだろう。三浦さんたちプロの楽屋裏公開である。
そこに、その世界の醍醐味があるからだろう。
ホンモノはいつも本質的で、高いレベルの科学を有している。見た目に誤魔化されてはいけない。ホンモノはいつも「シロウト」にわかりやすいのである。なぜなら、それがホンモノだから…。
▼三浦さんは、表紙の帯に、『いずれは気象予報士試験を受けてみたい人も、この一冊から!』 と書いておられる。これで、この本を手にした人のために、気象予報士の試験問題もいくつか取り上げられている。
それに誘われるように、ポンコツ理科教師の私も、「いつも日か、気象予報士の試験に挑戦したい」という夢がふくらんでいきます。
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