【授業】消化とは(4)
アジサイの「色」が気になる。10月も終わりだというのに「アジサイ」もないだろう。その「色」は、まるで夏の日の思い出が脳裏こびりついて消えないように、ミイラ化したアジサイの花にこびりついていた。七変化した夏の日の残像として。アジサイは夏の季語、それはこちらの都合だけできめていること、アジサイには、アジサイの「生」がある。総じて、生きとし生けるものはフルシーズンだ。シーズンオフなんてない。
▼それにしても気になるものである。自然の「色」というものは。かつて私は、「草木染め」にこっていたことがある。タマネギの皮からはじめて、藍染めに、そして紅花染めへと。自然の「色」を、いつも身につけるものに染めていく。そこに、みごとに自然とつきあっていく「常民の科学」をみた。それは感動であり、「高いレベルの科学」がそこにあると感じた。
草木染めのときも、植物のもつ色素が媒染剤(金属イオンを含む)で、みごとに発色していった。私もよくわかっていないが、「色」と金属イオンの関係。ここにも不思議・謎解きの面白さが待っているような気がする。
▼授業の話をすすめよう。定番中の定番実験。
「だ液によって、デンプンが糖にかわる」という実験である。ここでも、「色」の変化が、目的の事実を教えてくれる。
デンプンの存在を教えてくれる青紫色。数滴たらしただけでみごとに発色する。
小学校以来何度もやってきたことかもしれないが、やっぱり感動である。
ところで、このヨウ素デンプン反応というのは、いつ頃からやられたのか。誰がはじめたのかな。ルーツはどこにあるのだろう。なんか調べてみたくなってきた。ずいぶん古い話だが、西洋紙にヨウ素溶液をこぼしてしまい、みごとに青紫色に発色したことがはじまりになって、「デンプンさがし」の遊びをしたこともあった。
▼ベネジクト反応もみごとなものである。もともとの青色は、銅イオンの色だろう。
熱する、沸騰させるそのことによって何が起こっているのだろう。糖の量によって色具合もちがう。
うまく考えたものだ。この定番実験も、少しずつ「進化」していっているようだ。
たまたま昨日、手にした『理科の教育』(日本理科教育学会 東洋館出版社)の11月号に、「だ液によるデンプン分解での糖の検出法の改良」という論文が出ていた。
このように多くの人の知恵で、定番実験もより進化していくといいな。
ともかく
自然の「色」は、私たちに色々なことを語りかけ、教えてくれているのだ。
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