「風景」を読むとは
▼昨日は、ひと雨きた。
それは、はげしく冷たい空気の塊が流れ込む前兆だろうか。
それは、激しくふった。残暑に訣別するかのごとく。「上がるとザアザア」の急激版だ。
やっぽど大気が急激にあがる事情があったのだろう。
そして、やがて秋へと…。
▼さすが、夏休みで夕方、仕事を終えて帰るのが少しはやいときがある。それで、明るいなかを車を運転していて、ハッとする風景がある。
それは、毎日通っている通勤路である。見慣れているはずの風景。
ふだんは帰路につくのは、真っ暗のなかであるので、意識的にみることもない。
それも、ずっとみれるわけではない、数十メートルの区間走っているときだけだけの風景である。
二箇所ある。その風景とは、南北に山裾がのびている、南にのびた山裾がちぎれたようになっていて、
そこ坂道の道路がある。
これぞ、あの「シャッターリッジ」なのではないか。山崎断層にともなう変形地形、まっすぐにのびるはずの山裾が、断層によってずれる。ここでは左へずれている。
その単元を学習していたときのなまかじり知識をひっぱりだしてくる。
そのずれて破砕たところに道路がついている。それが「中国縦貫道」である。そして、もともとあったであろう側道
。それが、私の通勤路そのものなのである。
▼藤田和夫さんは『変動する日本列島』(岩波新書1985.6.20 かつて【理科の部屋】ではこれをテキストにオンライン学習会をやったことがある。)で次のように書いた。
兵庫県宍粟郡山崎町は、このあたりの中心地であるが、その少し東にあたる夢前町から、道路沿いに古墳らしい小丘の列があるから調査してほしいという要請が兵庫県の教育委員会にあった。そこで空中写真その他の資料を集めてみると、今まで日本列島で発見されていたどの横ずれ断層よりもみごとで教科書的な横ずれ変位地形がならんでいるではないか。しかもその線が中国自動車道路の予定線になっていて、着工寸前の状態だったのである。これは、わが国における活断層研究史上、特筆されるべき事件であると私は思っている。(p69)
これが後に「山崎断層」と命名される。
▼家に帰って、地図をみてあらためて驚いてしまった。
私の通勤路は、この山崎断層系の「安富断層」とピッタリと一致するのである。安富断層そのものの上を20分かけて毎日通勤しているのである。
おぼろげには知っていた。しかし、あらためて認識し興奮してしまったのである。
あの「はっ」とする風景には、意味があったのである。
あの風景は、「動く大地の物語」の結果であり、なおかつその物語は「現在進行形」なのである。
考えてみると、すべての風景に、このことが言えるのではないだろうか。
山も川も海も、すべての「風景」を読むことは、「動く大地の物語」を読むことになるのでは…。
今日の通勤から、窓から見える「風景」が、また少しちがって見えてくるかな。
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