【Web更新1/23】22-04 サイエンスコミュニケーター宣言等 更新!!

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足音に耳澄ませたる冬芽かな 22/01/22撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】22-04
週末定例更新のお知らせ
 状況は刻々と変化する。
 変化に対応した動きを!?
 などと言われるとポンコツはオロオロするばかりだ。

 ゆっくり ゆっくり 急ごう!!

◆表紙画像集2022 更新 アジサイの冬芽
 厳しい寒風のなか、それぞれの冬芽はそれぞれの防寒対策をしながら春を待っている。
 毛皮のコートをまとうもの、芽鱗を重ね着するもの等々
 裸ん坊のアジサイの冬芽は「不凍液」を忍ばせているという。
 なんという「知恵」だ!!
 春の足音はもう聞こえてきているのだろうか!?

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 「静電気」を科学する シリーズまだまだ続けている。
 旬ものの楽しみだ。
 本来ならば、みんなでわいわいがやがややりながら愉しみたいものだがなかなかそうも。
 ナラバ
 今、まず可能なことを汲みつくそう!!

◆オンライン「寅の日」 更新!!
 2月のテーマをきめた。「寅彦と科学のツール」である。
 身近な道具(ツール)「カメラ」「地図」に焦点をあてて寅彦を読もうと思う。

◆「コウガイビル」を追う 更新!!
 57号コウガイビルはエサなしで2ヶ月生きのびた!!
 今こそ問う。
 「食べる」とは!?
 「再生」とは!?
 「生きる」とは!?

◆新・クラウド「整理学」試論 更新!!
 次なる100日後には、Twitter的はどこに向かっているだろう!?
 
 大賀ハス観察池は、蓮根の植え替えから44週目だった。
 今年の観察池には水が少ない。
 それだけ降水量が少ないことを意味していた。
 観察池の氷の観察も楽しみしていることなので少しさみしい。

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「静電気」を科学する(6) #エレキテル #橋本曇斎 #阿蘭陀始制エレキテル究理原 #電磁気学の歴史 #ライデン瓶 #電気学事始め

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▼まだまだ『阿蘭陀始制エレキテル究理原』に夢中だった!!
 なかでもとっても気になる図があった。
 『校訂究理原稿本』を参考にすると書いてあることがわかった。

○ 磁石をおどして、吸いたる釘針のるいを落さする説
  並 南北を指す力をうしなふ辯


▼驚いた!!
 曇斎先生はどこまでわかっていたのだろう!?
 今一度、電磁気学の「歴史」をふりかえってみることにした。
 (『磁石と電気の発明発見物語』(板倉聖宣編 国土社)の年表を参考に)

●1752年(宝暦2) フランクリン  雷のある日に凧をあげて、雷の電気を取り出す実験に成功し、避雷針を発明した。
●1776年(安永5) 平賀源内 エレキテルの修繕と製作に成功する。
●1779年(安永8) 大阪で日本最初のエレキテルのみせものがはじまった。
●1780年(安永9) ガルバーニ カエルのあしの筋肉から電気がおこることを発表した。
●1785年(天明5) クーロン 電気力と磁気力の法則を実験で確かめる。
●1799年(寛政11) ボルタ 電池を発明した
●1811年(文化8) 橋本曇斎 『阿蘭陀始制エレキテル究理原』の序文が書かれる。
●1820年(文政3) エルステッド 授業中に、はりがねに電流を通すと近くの磁石に力をおよぼすことを発見した。
●1821年(文政4) ファラデー 最初のモーターをつくる。
●1827年(文政10) オーム 電流と抵抗と電圧の関係を示す「オームの法則」を発見
●1831年(天保2) ファラデー 「電磁誘導」発見


▼電磁気学の「歴史」をふりかえってみて、ますます曇斎先生の『阿蘭陀始制エレキテル究理原』が興味深く見えてきた。
 「エレキテル」を使った各種実験は何を教えてくれるのだろう!?

・摩擦電気
・「百人様(ためし)」」「百人嚇」というライデン瓶
・「エレキテル」と金属
・「エレキテル」と水
・「エレキテル」とビリビリ
・「エレキテル」と磁石
・「エレキテル」と火
・「エレキテル」と雷
等々

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 おっかなビックリの「エレキテル」実験が次々と展開されているのだった。
 きわめつけは
○ 「エレキテル」にて五星運行の理を示す図説
 まで登場するのである。

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▼電磁気学の「歴史」、『阿蘭陀始制エレキテル究理原』のいろんな実験をみていると
 今さらであるが

●電気学事始めに「静電気」を!!

の主張もあながち的外れではないように思えてくるのだった。
 むしろこちらの方が、学びの「順路」であるとも!!

(つづく)

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57号コウガイビルはエサなしで2ヶ月生きのびた!! (2022/01/21)#コウガイビル #飢餓と再生 #教材化

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あの日から2ヶ月が経った!!
 前回の観察からでも、年を越して1ヶ月経った。
 最初にナイロン袋に入れた水以外はなにも与えていなかった。
 しかし

 57号コウガイビルはエサなしで2ヶ月生きのびた!!

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▼冷蔵庫からナイロン袋を出してきてすぐのときは、57号コウガイビルは「の」字を描いてかたまっていた。
 クマムシの「乾眠」のように、エネルギーの消耗を防ぐように「眠って」いたのだろうか!?
 やがてイチョウの葉(コウガイ)のような頭をヒラヒラさせながら動き出した!!
 まちがいなく 生きている!!
 全長は一ヶ月前とさほど変化したように見えなかった。
 やっぱりここは寅彦のコトバをかりよう。
 
 「ねえ君、不思議だと思いませんか?」

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▼この不思議に答えてくれる本に出会っていた!!

◆『プラナリアの形態分化~基礎から遺伝子まで~』(手代木渉、渡辺憲二著、共立出版 1998.3.25)

 この不思議に答えてくれる部分は 「14.9 飢餓と再生」(P275)にあった。この章は牧野尚哉・白澤康子先生が書いておられる。

 コウガイビルの飼育では給餌が大切な要素となるが、餌に対しての反応は同一種内でも異なり積極的に摂取するグループとそうでもないものとがある。また長期間の飢餓に耐え、もとの体重の1/100に減少しても生存し続けることができる。このような生理的変化が、顕著な再生能をもつ本動物の器官形成にどのような影響を及ぼすのか、頭部再生の有無、形成所要時間、極性との関連について、採集直後の体重を100として、もとの30~40%に減少したグループを飢餓個体として実験を行った。  なお、飢餓個体の設定は、採集された個体のうち、何としても餌を食べないものがあり、かなりの期間絶食にも耐えられるが、やがて死に至る。体重減少と生存期間の長短は一定ではないが、採取後減少の一途をたどる体重は、ある時点で平衡状態となり、これ以降急激に減少して死ぬものが多い。体重が安定をみせる状態を越えると個体は死を迎えることから、この安定期(もとの体重の30~40%)を飢餓状態と考えた。これらの飢餓グループと採集まもないものとを次の実験により比較した。(同書P276より)

 この本の編著者である渡辺憲二先生に直接、言わば「自らを食べて生き延びている」のだと教えてもらった。
 もうそれからでも10年以上の歳月が経とうとしていた。

▼Webテキスト試案「コウガイビル」を構想をする作業は遅々として進まない。
 しかし、断念することはない!!
 この「ふしぎ!?」がつづくかぎりは…!!

 テキストのキーワードは!?
・「食べる」
・「飢餓」
・「幹細胞」
・「再生」
・「生きる」
・「生命」

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「静電気」を科学する(5) #エレキテル #橋本曇斎 #阿蘭陀始制エレキテル究理原 #ライデン瓶 #百人おどし

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▼やっぱり手に入れてしまった!!

◆『阿蘭陀始制エレキテル究理原』<復刻版>(橋本曇斎先生百年記念会 オーム社 昭和五十九年)

 本のはじめにこのように書いてあった。

 橋本曇斎先生  大阪の医者、橋本曇斎(一七六三~一八三六)は、わが国において、初めて電気に関する学術的な実験研究を行なったことで広く知られており、一八一一年(文化八年)に「阿蘭陀始制エレキテル究理原」を著して、わが国の電気学術史上に燦然たる記録を残している。  復刻版「阿蘭陀始制エレキテル究理原」は、現代電気工事大系の一巻として、橋本曇斎先生百年記念会(浪岡具雄ほか)が昭和十五年十一月二十五日に発行したものを、改めて複製したものである。

▼ネットの古本屋で手に入れたのである。
 ケースに二冊入っていた。
・『阿蘭陀始制エレキテル究理原』<復刻版>
・『校訂究理原稿本』
である。『阿蘭陀始制エレキテル究理原』<復刻版>の方をわくわくしながら開いてみた!!
 驚きだった!!
 うれしい!! カラーだ!!
 カラーで「エレキテル」を使った「静電気」面白実験が次々と登場するのである。

 もちろんあの「百人おどし」も!!

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▼最後は、あの「天から火をとる実験」だった。

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▼「エレキテル」のつくりについてもかなりくわしく図示されていた。
 こんな図をみていると、かつてえがいた「エレキテル復元実験」への夢もよみがえってくるというものだった!!
 
 「エレキテル」実験絵本として見ているだけでもとても面白い!!
 飽きることはない!!
 
<つづく>

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2022年2月のオンライン「寅の日」は #科学のツール #traday #寺田寅彦

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▼「おすそ分け」してもらって部屋にぶら下げた「藤の実」!!
 はぜることなく今もぶらさがるはたったひとつとなってしまった。
 今となっては、逆にこのひとつは「なぜはぜらないのだろう!?」と思うようになった。
 これまた「ふしぎ!?」だ。

 『寺田寅彦「藤の実」を読む』の著者たちの真似をして、はぜる「その瞬間」を撮りたくてカメラを向けるがなかなか難しい。
 「ヘタな鉄砲方式」で撮りまくるだけの私にはなかなか …。
 
▼2022年2月のオンライン「寅の日」の計画を立てる時期が来ていた。
2月のテーマは、寅彦が科学するときに利用していた道具(ツール)についてをテーマとしたい。
2月のテーマは

【2月テーマ】「寅彦と科学のツール」

2月は2回あった。

■2022年2月オンライン「寅の日」!!
◆第308回オンライン「寅の日」 …2/06(日)
◆第309回オンライン「寅の日」 …2/18(金)

▼「科学のツール」などと大げさに言うのでなく、寅彦が日常的に愛用していた道具にどんなものがあるのだろう。
 ひとつは「カメラ」である。
 もうひとつはフィールドワークにかかせない「地図」である。
 それぞれについて熱く語った随筆「カメラをさげて」 「地図をながめて」を読んでみることにしよう。


■2022年2月オンライン「寅の日」!!

◆第308回オンライン「寅の日」 …2/06(日)「カメラをさげて」(青空文庫より)

◆第309回オンライン「寅の日」 …2/18(金)「地図をながめて」(青空文庫より)


▼私の究極の道楽
・「雲見」!!
・「宇宙見物」!!
・「ひとり吟行」!!
 カメラはいずれにおいても欠かすことのできないツールである。
 これからはもっともっと「地図」というツールの利用も考えたいものだ。
 そんな思いから…。


 

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【Web更新1/16】22-03 サイエンスコミュニケーター宣言等 更新!!

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峠より風のゆるむや水仙花 22/01/15撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】22-03
週末定例更新のお知らせ
 はやくも2022年3回目の週末定例更新のお知らせである。
 世間の状況は刻々と変化している!!
 
 さらに ゆっくり ゆっくり 急ごう!!

◆表紙画像集2022 更新 水仙  
 寒中の水仙は凜として美しい!!
 生野峠からの寒風が少しだけ弛んだ気がした。
 その瞬間
 水仙花がわずかに微笑んだ!!
 大寒が近い!!

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 またまた唐突に
 「静電気」を科学する シリーズをはじめてしまった。
 今の季節の教材かな!? と気まぐれにはじめたシリーズ。
 やればやるほど面白くなってきた。
 やっぱり「静電気」は「ふしぎ!?」で面白い!!
 これまた、「静電気」ばっかり病が発症してきたようだ。

◆オンライン「寅の日」 更新!!
 1月テーマは「科学と文学」。
 読んでいるのも そのものズバリ 「科学と文学」
 ここにまちがいなく「寺田寅彦を活用する」ヒントがある!!


 大賀ハス観察池は、蓮根の植え替えから43週目である。
 観察池の泥はやっぱり部分的にふくらんでいるように見える。
 地下に眠る蓮根のせいだろうか!?
 今年の蓮根の植え替えまで あと10週だ!!

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Twitterはじめて4,501日目に思うこと!! #藤の実 #Twitter #Twitter的

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▼今度は屋外のこの「藤の実」の「潮時」にはまっていた!!
 ほんとうに一斉にはぜる日がやってくるだろうか!?
 やってくるとするなら、それはどんな日だろうか!?
 気温は!?
 湿度は!?
 どんな天気の日だろう!?

▼本日(2022/01/18)は、Twitterはじめて4,501日目であると、twilogが教えてくれた。
 はじめてからほぼ100日ごとに

●「Twitterはじめて○○日目に思うこと!!」

という「記事」を書き続けてきた。
 くだらないそのときどきの「覚え書き」であるが、今となっては私自身の軌跡の「記録」となっている。

▼そのなかでいつも語ってきた「Twitter的」!!

 「Twitter的」とは
 6つのキーワード・概念からなる。

 Twitter的=
「リンク」
「シェア」
「フラット」
「等身大」
「リアルタイム」
「アクティブ」

 もちろん「Twitter的」はTwitterのみを意味しない!!
 少し大げさに言えば
 ネット世界における私の「流儀」「作法」である。
 いや、それを超えて、これが私の「哲学」であり「生き方」である!!

 なんでこんな大げさなんだろう(^^ゞポリポリ

▼今度の100日後は、何に夢中になっているかな!?
 「藤の実」はもうはじけているだろうな。

 さあ、今度の100日後の「ふしぎ!?」に乾杯!!


 
 

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1.17 あれから27年の歳月が!!そして…

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 1995年(平成7年)1月17日5時46分52秒

 まもなく「あの時間」だ!!
 あれから27年の歳月がたつのだ!!
 今朝もやっぱり書いてしまうのだった。私には、これしかできないのだから…と。
 
▼寺田寅彦は「津浪と人間」(青空文庫より)のなかで、こう言った。

 しかし困ったことには「自然」は過去の習慣に忠実である。地震や津浪は新思想の流行などには委細かまわず、頑固に、保守的に執念深くやって来るのである。紀元前二十世紀にあったことが紀元二十世紀にも全く同じように行われるのである。科学の方則とは畢竟(ひっきょう)「自然の記憶の覚え書き」である。自然ほど伝統に忠実なものはないのである。

また、こうとも言った。
 

残る唯一の方法は人間がもう少し過去の記録を忘れないように努力するより外はないであろう。

▼遅々として進まないが、やっぱりやり続けたいことがあった。
 それは

●【授業】『大地の動きをさぐる』

を更新して

●Web版テキスト試案『大地の動きをさぐる』!!

に挑戦することだ。いっこうに「作業」はすすではいない。
 しかし「現在地」の確認だけはやっておきたい。
 それが今の私にもできること!!

▼まもなく「東遊園地」の燈籠が
 あのときを忘れないの意味を込めて

 「忘」の文字を…!!

             合掌 27年目の朝   

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「静電気」を科学する(4) #エレキテル #起電機 #ライデン瓶 #静電気モーター

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▼この「起電機」の正式の名前を知ったのは最近のことだった。
 ずいぶん久しぶりにこれを目にしたのは

●島津製作所創業記念資料館

を訪ねたときだ。そのときこの「起電機」の正式な名前を知ったのだ!!
「ウイムシャースト感応起電機」
と。

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▼この「起電機」にはじめて出会ったのは、45年ほど前だったと記憶する。
 理科室の準備室の棚奥深くにほこりをかぶって、これが眠っていた。
 そのそばには「ライデン瓶」「電気盆」「エボナイト棒、ガラス棒」等がセットになっておいたあった。
 不勉強だった私はその「起電機」の扱い方すらわからなかった。
 棚からひっぱり出してきて、「起電機」で遊んでいるあいだに、すっかり夢中になってしまった。

▼こんな面白いこと、生徒たちと一緒に楽しみたいと思った。
 そこで「電気の学習」の組み立てにこだわるようになった。

◆【電気の学習】実践DB

「静電気」は「ふしぎ!?」がいっぱいだ!!
でもやっぱり面白い!!

 そんなところからはじめたかったのだ。

▼これまた久しぶりにそれを実感する機会が昨日(2022/01/15)あった。
 
●第128回 かがくカフェ(ファラデーラボ)
・テーマ   「静電気のかがく」(静電誘導を利用した静電気モーターの工作)
・話題提供  上橋智恵さん 
 
である。
 私は残念ながらzoomでのオンライン参加だった。
 それでも、いつもながらの上橋さんすばらしい工作を見せてもらって実に楽しかった。
 工作の完成品もさることながら、工作過程でのアイデア・工夫・「かがく」に感動するばかりだった!!


●上橋智恵さん考案 「静電気モーター」


「静電気」は「ふしぎ!?」がいっぱいだ!!
でもやっぱり面白い!!

(つづく)

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【お薦め本】『寺田寅彦「藤の実」を読む』(山田功・松下貢・工藤洋・川島禎子著 窮理舎)

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▼今年の元旦はうれしい報告からはじまった。
 ラボ(物置!?)に設置していた「藤の実」が3つも一斉にはぜったという。
 たまたまそこに泊っていた子供からの報告だった。
 夕方になって、2つがはぜった。さらに深夜には、2つが追加してはぜった。
 けっきょく2022/01/01だけでなんと7つもの「藤の実」が一斉にはぜったことになった!!
 元日はまさに「藤の実」の「潮時」だったのだろうか。
 普段はほとんど使わないエアコン暖房を使ったことも影響しているのだろうか!?

▼「ふしぎ!?」な「偶然」があるものだ。
 この日は今年最初の「寅の日」でもあった。それだけでない。
 以前から予約注文していた一冊の本が年賀状とともに届いた。
 それが今回の【お薦め本】である。


◆【お薦め本】『寺田寅彦「藤の実」を読む』(山田功・松下貢・工藤洋・川島禎子著 窮理舎 2021.12.31)


なんと発行日は前日の「寅彦忌」だ!!
  例によってお薦めポイントを先に3つをあげておく。

(1)寅彦の謎解きの科学を何倍にも増幅して楽しめる!!

(2)多面的な視点から寺田物理学の読み解きがされている!!   

(3)名作「藤の実」をより面白く読むための豊富な資料がここに集めてある!!


▼3つのお薦めポイントは重なるところもあるが、順次少しだけ詳しくのべてみる。
 まず

(1)寅彦の謎解きの科学を何倍にも増幅して楽しめる!!
 はじめの山田功氏の読み解きは実に面白かった。
 十段落に分けての読み解きは、寅彦の文章のバックグラウンドを詳しく興味深く解説するものだった。
 なるほどと納得することしきりだった。
 特に第三段落までの「藤の実」が一斉にはじける現象の謎解きはみごとである。
 それは、まるでコナンの探偵物語でも読むような面白さだ。
 謎解きは、自ら体験することからはじめておられた。

 藤の実がはぜたときの音とは、いったいどんな音だろうか。私も確かめたくなった。ある年の十一月中頃、藤の実を探すことにした。大きな公園の藤棚を見に行くと、手入れがされていて藤の実はない。近くの家に藤棚があることを思い出し出かけた。幸い、いくつかの藤の実が残っていた。  それを貰い、部屋にひもを張りつるした。十二月中頃、部屋で本を読んでいると、突然「ぴしっ」と乾いた短い音がし、藤の実がはぜた。その時、体がピクリと緊張した。そして、タネは部屋のドアに当り床に落ちた。これが寅彦の体験した藤の実のはぜる音なのかと納得したのである。それだけのことだが、作品「藤の実」がぐっと自分に近づき、いっそう深い関心がもてたのである。(同書P17より)

 これはこの探偵物語のはじまりにすぎなかった。
 謎解きは、次々とリアルに展開された。
 寺田邸の藤棚はいつどこにつくられたのか? 
 タネがはげしくあたった障子のある居間とガラス窓の台所と藤棚の位置関係は?
 寺田邸平面図、現場写真、居間スケッチ等々。
 次には藤の実が一斉にはじけた時の気象条件の検証を行なっていた。
 当日の「天気図」、中央気象台の観測データから、「異常に低い湿度」の謎を読み解こうしていた。
 それで驚いてはいけない。
 山田氏とその教え子の川口氏はなんと2014年、二ヶ月にわたり数百の藤の実で、はじけた数と、気象状況(湿度)との関係を調べているのである。
 まだまだある。
 猛烈な勢いで飛び出すタネの「初速度」を寅彦がやったように「高校物理」の問題として計算しているのである。さらには「その瞬間」を写真に収めようと根気よく試み成功しているのである。(この本にはそのときの写真が口絵に紹介されている)
 この取り組みを読んでいるあいだに、寅彦の次のコトバを思い出したのだった。

一方で、科学者の発見の径路を忠実に記録した論文などには往々探偵小説の上乗なるものよりもさらにいっそう探偵小説的なものがあるのである。実際科学者はみんな名探偵でなければならない。 (「科学と文学」青空文庫より


 山田氏の「むすび」のコトバを引用させてもらおう。
 

 こうして、「藤の実」を読み終えてみると、身近な事象も気を付けて眺めると、「おや」、「不思議だな」と思うことが結構あることに気づく。それは、興味深いことで、楽しい疑問である。そうした出会いができるためには、普段から自分の五感の感度を少し上げておかねばならぬ。五感というアンテナを磨き、いくつも立てておくことだ。そして、不思議だと思ったことを、「それは偶然だ。」とか、「悪日」とか、「神様や悪魔の仕業だ。」と、簡単に思考を止めてしまわないことである。根気強くもう一歩調べていくと「不思議」の原因を発見できるかもしれないのである。(同書P29より)


▼次のお薦めポイントにいこう。

(2)多面的な視点から寺田物理学の読み解きがされている!!
 多面的・多角的な視点で読み解きがおこなわれているということは、著者たちのそのタイトルからもわかった。

○「藤の実」によせて:偶然と必然のはざま 松下 貢
 「銀杏の一斉落葉」にふれて次のように語っていた。
  

 ここでのポイントは、落葉集団の表面は外部の空気抵抗を受けるが、その内部では空気も一緒になっているので、葉っぱ達は空気の抵抗なしに落ちるということである。こうなると、落葉集団の縁の葉っぱはひらひらとするが、集団内の葉っぱは滝の流れのようにどどっと一斉に落ちるであろう。
 この落葉の流れのきっかけを考えてみると、どの一枚の葉がどこで落ちるのかは、まったく偶然であろう。しかし、落葉が集団となって滝のように流れる段階では、この流れは実際の滝の水の流れと同様に、必然的な現象ということになる。すなわち、寅彦が見た銀杏の一斉落葉は偶然から必然への推移を観察したことになる。(同書P36より)

 思わず、なるほどと膝をたたくのだった。


○植物生態学からみた「藤の実」 工藤 洋

 自然科学者としての立場では、あらゆることに先入観を持ち込まない。まずは、現象をよく観察し、数値データを集め、偶然でなく説明し得る仮説を立てる。そして、その仮説が否定されるあらゆる可能性を考えて、観察と実験を繰り返す。この行為は自分が仮説を信じるかどうかとは別次元の行為で、仮説は証明されるものではなく、否定されないことをもって保持される。(同書P53より)
 
 さすが自然観察のプロのコトバは示唆的である。


○寺田寅彦「藤の実」に見る自然観 川島禎子

 「藤の実」について、文学的な考察をしてきました。とても短い作品ですが、これは備忘録であると同時に、連句的手法を活用して今寅彦が見ている世界を写した試みであり、身近な出来事から「潮時」という現象を読み取る実験である、と言っていいでしょう。
 また科学者として分析的で論理的な自然観を持つのみならず、連句的手法を随筆に取り込むことで東洋的な自然観で対象をとらえることも意識的に行なっていたのではないかと指摘しましたが、そうした複眼的な自然観が、文学者としても、また科学者としても独自の興味深い視点を提示し得た理由だと考えられます。(同書P76より)

 「連句的手法」「複眼的な自然観」私にはなんとも興味深いキーワードだ!!


最後のポイントに行こう。

(3)名作「藤の実」をより面白く読むための豊富な資料がここに集めてある!!
 これはこれまでのお薦めポイントと重なることにもなるのだが、やっぱりこの本の大きな特徴ともなっているのであげておきたい。
 よくありがちなケースとして、「これをより深く知るためには、こんな参考資料・文献がありますよ」と紹介のみに終わることが多いのだが、この本はちがっていた!!
 この本にはこのすべてが<付録>として「ここに集めて」あった。

<付録>
・「十五メートルも種子を射出す 藤の莢の不思議な仕掛」平田 森三   
 ※必読!!寅彦たちの論文をわかりやすく『子供の科学』(昭和八年十月号)に発表したもの

・「破片(抄)」 吉村冬彦(寺田寅彦)

・「雪子の日記(昭和七年十二月~昭和八年一月)」

・「鎖骨」 吉村冬彦(寺田寅彦)

・寺田寅彦 略年譜

 この一冊で名作「藤の実」のバックグランウドのすべてがわかるのだ。

 
 寅彦ファン必読の一冊だ!!

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