「天気の変化」を科学する (25) #天気の変化 #科学する #Webテキスト #上がるとザアザア #下がるとカラカラ #天気は西から

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▼「天気の変化」を科学する を「科学する」シリーズのひとつとして一月にはじめてずいぶん時間が経った。
 やっぱり最初に「出発点」としたのは、自分自身が取り組んで来た「授業」であった。

●「天気の変化」を科学する (1) #天気の変化 #科学する #授業実践DB 

▼そして、そのなかで繰り返し使ってきた2つの<きまり>のルーツをさぐってみた。

(1)<きまり>光(太陽)は東から、天気は西から 

(2)<きまり>上がるとザアザア 下がるとカラカラ

 自分でもとても面白い展開になったと思っている。

▼さらに、長年取り組んでいるWebテキスト試案『天気の変化』での<きまり>の有効性をみていった。
 できている試案は今ところ5つあった。

●Webテキスト試案『「雲見」を楽しもう!!』
●Webテキスト試案「高層天気図・数値予報図」(pdf版)
●Webテキスト試案「アメダス」(PDF版)
●Webテキストミニ試案「エマグラム~エマグラム鉄道物語~」
●Webテキストミニ試案「ウィンドプロファイラ(風の横顔)」

▼いずれの試案でも2つの<きまり>が有効であることがわかった。
 プロたちが利用している気象データも、アタリマエの<きまり>で読み解けばけっこう面白いと知った。
 貴重で興味深いデータをこのままにしておくのは
 モッタイナイ!!
 と思った。

 このあと、これらの試案をどう展開していくか!?
 具体的な動きがでてきたとき
 「天気の変化」を科学する(続)を再開することにして、いったん本シリーズを終えたい。
 
(了) 
   

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「天気の変化」を科学する (24) #天気の変化 #科学する #Webテキスト #ウィンドプロファイラ #風の横顔 #天気は西から

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▼最後のWebテキスト試案にいく。

◆Webテキストミニ試案「ウィンドプロファイラ(風の横顔)」

▼ミニ試案の「なかみ」に入ってみる。

 ※ウィンドプロファイル(気象庁)
 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/windpro/kaisetsu.html
 のページをあけておいて考えてみよう。

(1)ウィンドプロファイラ観測局は全国33ヶ所にあります。
 ○あなたは見たことがありますか。

 ○あなたの住んでいるところからいちばん近くの観測局はどこですか。


(2)ウィンドプロファイラは何を観測していますか。

 a それはどんな原理を使って観測していますか

 私は、「鳥取」「高知」の二カ所で見たことがあります。
 実際に見てみるのも面白いですよ。

▼さあ、実際のデータを見ながら考えてみましょう。

(3)いちばん近くの観測局の最新データを見てみよう。

 ○ 最新データの「時間-高度断面図」を見てみよう。
 
 a 何分ごとに更新されていますか。

 b 上下方向の鉛直速度を色で表示しています。

 ・赤系色=(   )
 ・青系色=(   )または降雨
 
 c 最も近くでは何時何分ごろに雨が降ったと考えられますか。

 d 風の吹く方向は、基本的にはどちらからどちらへ吹いていますか。

 ・場所によってちがうでしょうか。
 ・季節によってもちがうでしょうか。- 2

 <光は東から 天気は西から>は言えるかな?

 このアタリマエほんとうかな!?
 例外はあるのかな。

▼最後には、毎日の「天気の変化」と結びつけて考えることできたらうれしいですね。
 最後のコトバが、このテキスト試案の<ねらい>のすべてです。

(4)「地上天気図」と見くらべながらわかることをあげてみよう。

 a 前線の通過


 b 台風

 こんな興味深いデータがいつでも誰でも見ることができる!!
 活用しなければモッタイナイ!!


(つづく)


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2024年3月のオンライン「寅の日」は #防災 #減災 #traday #寺田寅彦

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「天災は忘れられたる頃来る」

 「土佐の寅彦」詣で出会う寅彦の警鐘はいつもこうだった!!
 今、さらに重く響いてくるのだった。
 オンライン「寅の日」は、2012年の4月にはじまった。
 この3月で、12年が過ぎる。

▼2024年3月のオンライン「寅の日」の計画をたてる時期である。
 3月は、定番化してきたテーマでやりたい。
 寅彦の警鐘に耳を傾けながら

【3月テーマ】「寅彦と防災・減災」

 2024年3月のオンライン「寅の日」は3回ある。

■2024年3月のオンライン「寅の日」!!
◆第373回オンライン「寅の日」 …3/03(日)
◆第374回オンライン「寅の日」 …3/15(金)
◆第375回オンライン「寅の日」 …3/27(水) 

▼同様のテーマで、繰り返し読んできた随筆があった。
 それに加えて、あらたな随筆も読んでみたかった。
 そこで、次の3作品の随筆に決めた。
 「銀座アルプス」 「天災と国防」「津浪と人間」

■2024年3月のオンライン「寅の日」!!

◆第373回オンライン「寅の日」 …3/03(日)「銀座アルプス」(青空文庫より)

◆第374回オンライン「寅の日」 …3/15(金)「天災と国防」(青空文庫より)

◆第375回オンライン「寅の日」 …3/27(水)「津浪と人間」(青空文庫より)

▼何度読んでも、読むたびにあらたな「発見」があるのが、寅彦随筆のすごさだった!!
 今、寅彦の警鐘はどんな響きをもって聞こえてくるのだろう!?
 
 12年間の歩みをふりかえりながら読んでみたい!!
 

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本日(2024/02/20)、第372回オンライン「寅の日」!! #怪異考 #traday #寺田寅彦

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▼「そんな非科学的な!!」
 「でも…」

 「民話」「昔話」「伝説」「伝承話」等に対して、そう評価されることがある。
 ナットクする反面
 「それでも…」と反駁するコトバももたない。
 でも思うんだ

 「科学的って何?」

 ▼本日(2024/02/20)は、第372回オンライン「寅の日」!!
 2月テーマは

【2月テーマ】「寅彦と科学・非科学」

 である。
 本日はその二回目、読むのは「怪異考」である。
 

◆本日(2024/02/20)、第372回オンライン「寅の日」!!

●「怪異考」(青空文庫より)


▼寅彦は最初に自分のスタンスをあきらかにしていた。

 物理学の学徒としての自分は、日常普通に身辺に起こる自然現象に不思議を感ずる事は多いが、古来のいわゆる「怪異」なるものの存在を信ずることはできない。しかし昔からわれわれの祖先が多くの「怪異」に遭遇しそれを「目撃」して来たという人事的現象としての「事実」を否定するものではない。われわれの役目はただそれらの怪異現象の記録を現代科学上の語彙(ごい)を借りて翻訳するだけの事でなければならない。

つづけて、こうも言っていた。
ただできうる唯一の方法としては、有るだけの材料から、科学的に合理的な一つの「可能性」を指摘するに過ぎない。

従ってやや「もっともらしい仮説」というまでには漕(こ)ぎつけられる見込みがあるのである。そこまで行けば、それはともかくも一つの仮説として存在する価値を認めなければならず、また実際科学者たちにある暗示を提供するだけの効果をもつ事も有りうるであろうと思われる。

 それで、ただここにはほんの一つの空想、ただし多少科学的の考察に基づいた空想あるいは「小説」を備忘録として書き留めておく。もしこれらの問題に興味をもつほんとうの考証家があればありがたいと思うまでである。

そしてここから二つの具体例があがっている。
そのひとつが、「孕のジャン」である。

 その怪異の第一は、自分の郷里高知こうち付近で知られている「孕(はらみ)のジャン」と称するものである。孕は地名で、高知の海岸に並行する山脈が浦戸湾うらどわんに中断されたその両側の突端の地とその海峡とを込めた名前である。

 この地形を自分の目で確かめたくて、「高知県立牧野植物園」への道を車でのぼったこともある。
 さて、この後の展開は寅彦らしいみごとなものだった。
そのほんとうの原因的機巧はまだよくわからないが、要するに物理的には全くただ小規模の地震であって、それが小局部にかつ多くは地殻ちかく表層ひょうそうに近く起こるというに過ぎないであろうと判断される。
 もし「孕(はらみ)のジャン」として知られた記録どおりの現象が、実際にあったものと仮定し、またこれが筑波地方(つくばちほう)の地鳴りと同一系統の地球物理学的現象であると仮定すると、それから多少興味のある地震学上のスペキュレーションを組み立てる事ができる。
 
さて、これらの大地震によって表明される地殻(ちかく)の歪(ひずみ)は、地震のない時でも、常にどこかに、なんらかの程度に存在しているのであるから、もし適当な条件の具備した局部の地殻があればそこに対し小規模の地震、すなわち地鳴りの現象を誘起しても不思議はないわけである。そして、それがある時代には頻繁ひんぱんに現われ、他の時代にはほとんど現われなくなったとしても、それほど不思議な事とは思われない。

 それで問題の怪異の一つの可能な説明としては、これは、ある時代、おそらくは宝永地震後、安政地震のころへかけて、この地方の地殻に特殊な歪を生じたために、表層岩石の内部に小規模の地すべりを起こし、従って地鳴りの現象を生じていたのが、近年に至ってその歪が調整されてもはや変動を起こさなくなったのではないかという事である。

このみごとな作業仮説に感心してしまう!!
それ以上に寅彦がすごいと思い、注目したいのは次だ!!
しかしもし現代の読者のうちでこれと類似の怪異伝説あるいは地鳴りの現象についてなんらかの資料を教えてくれる人でもあれば望外の幸いである。

これは「現代」にも通ずる!!
今だからこそという言う思いもある!!

▼もうひとつの具体例はこうである。

 次に問題にしたいと思う怪異は「頽馬(たいば)」「提馬風(たいばふう)」また濃尾(のうび)地方で「ギバ」と称するもので、これは馬を襲ってそれを斃死(へいし)させる魔物だそうである。

 これに反して、ギバがなんらかの空中放電によるものと考えると、たてがみが立ち上がったり、光の線条が見えたり、玉虫色の光が馬の首を包んだりする事が、全部生きた科学的記述としての意味をもって来る。また衣服その他で頭をおおい、また腹部を保護するという事は、つまり電気の半導体で馬の身体の一部を被覆して、放電による電流が直接にその局部の肉体に流れるのを防ぐという意味に解釈されて来るのである。 
「科学的」謎解きの展開が面白い!! 最後のしめくくりもみごとである。
結局は実際の野外における現象の正確な観察を待つ必要がある。
 ギバの現象が現時においてもどこかの地方で存在を認められているか。もしいるとすればこれに遭遇したという人の記述をできるだけ多く収集したいものである。読者の中でもしなんらかの資料を供給されるならば大幸である。

 「現代」だからこその「多くの収集」の手段も考えられるのかもしれない。
 
 最後の最後に寅彦はこう記していた。

(この「怪異考」は機会があらば、あとを続けたいという希望をもっている。昭和二年十月四日)

 寅彦の「にわかファン」である私は、「怪異考」の続編を書いたのか知らない。
 
 「科学的って何?」

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【Web更新2/18】24-07 Webテキスト『天気の変化』の可能性!?等 更新!!

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ぽぽのぽぽ行きつ戻りつ土手の春 24/02/17撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】24-07
週末定例更新のお知らせ
 まだ2月であることを忘れてしまいそうな陽気がつづいた。
 屋外での作業をつづけていた。
 少しずつ作業の「成果」が かたち になるのがうれしい!!
 無理のない範囲で ゆっくり 楽しみながら すすめめたい!!
 
 ゆっくり ゆっくり 急ごう!!

◆表紙画像集2024 更新 ぽぽのぽぽ 蒲公英
 タンポポを表紙にするのは、少しはやいかと思ったが、やっぱり 今週の旬はタンポポだ。
 土手には、少し たけ の短いタンポポと ホシノヒトミでいっぱいだ。
 春が来た!!

◆Webテキスト『天気の変化』の可能性!? 更新!!
 「天気の変化」を科学する をつづけている。
 「エマグラム」「エマグラム鉄道物語」!?
 ポンコツ頭には よく理解できていないことをなぜつづけるのか。
 「中学校理科」の有効性!!
 「科学する」は楽しい!! をどこまでも。

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 今年になって、4冊目の【お薦め本】を書いた。
 瞬時に著者とツナガッタ!! うれしい!!


 大賀ハス観察池、蓮根の植え替えから47週目である。
 近くの紅梅の花びらが、池面に浮かびはじめた。
 春だ!!
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「天気の変化」を科学する (23) #天気の変化 #科学する #Webテキスト #エマグラム #ショワルター安定指数 #SSI #エマグラム鉄道物語

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Webテキストミニ試案「エマグラム~エマグラム鉄道物語~」をつづけよう。
 いよいよ「物語」は最後に入る。

4 エマグラム鉄道物語(その2)
~SSI(ショワルター安定指数)~

※「ラジオゾンデによる高層気象観測(気象庁)」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/upper/kaisetsu.html
※「エマグラム(SunnySpot)」
https://www.sunny-spot.net/emagram/

のページを開いておいて考えてみよう。

(1)SSI(ショワルター安定指数)
 そもそも「エマグラム」とは何を見るための図表なんだろう。
 それを教えてくれる 指数があった。
 ●SSI(ショワルター安定指数)
 である。その<求め方>があった。

<求め方>
 SSI(ショワルター安定指数)求め方は、500hPaの実際の気温(T500)から、850hPaの空気塊を断熱的に 500hPa まで持ち上げると仮定したときの気温(T850)を引いたもの。

 SSI(ショワルター安定指数)=T500-T850

 これだけでは、なんのことか具体的なイメージがわいてこない。

▼そこで「物語」の登場である!!

そこで「エマグラム鉄道物語」で読み解いてみよう。

 a 高層天気図の基準の高さを思い出そう。
 ・300hPa…基準高度9600m
 ・500hPa…基準高度(    )m
 ・700hPa…基準高度3000m
 ・850hPa…基準高度(    )m

 b 「エマグラム鉄道物語」で考えてみよう。
 仮に1500m上空の大気の塊を「エマグラム鉄道」の列車に乗せて5700m上空まで運んでいったとき、列車の中の気温(T 850)はどれくらになるだろう。それは「エマグラム鉄道」の線路をたどればすぐわかる!!

 それは5700m上空の列車の外の気温(T500)とくらべてどうだろう。

 ●列車のなかの気温の方が高ければ→列車はドンドン上っていくだろう (熱気球がドンドン上るように)
 
 ●「上がると ザアザア」→大気「不安定」!!


▼やっぱりここでも「上がるとザアザア」だ。そして…

(2)SSI(ショワルター安定指数)の大小が大気の「安定」「不安定」の目安となった。
 
 ●SSI(ショワルター安定指数)
 ・大(正)→ 大気「     」
 ・小(負)→ 大気「     」!!

 ※ ひとつの目安がつくられていた。
 ・SSI <= 3℃ しゅう雨(しゅう雪)がある
 ・SSI <= 0℃ 雷が発生する
 ・SSI <=-3℃ ひょうが降る
 ・SSI <=-6℃ 竜巻が発生する

 「エマグラム鉄道」の列車の車窓から、見える「雲見」の景は、SSI(ショワルター安定指数)の値をみればわかるということだ!!

▼そして、最後にこうしめくくっていた。

 やっぱり仮想「エマグラム鉄道」列車の旅は面白い!!
 「きっぷ」は今すぐ誰でも手に入るぞ!!
 さあ、君も一緒に旅に出よう!!

 繰り返そう。
 これはシロウトの私が勝手に描いた「大気の物理学実験室」での仮想実験の物語である!!
 今、「エマグラム鉄道物語」の絵本でもつくりたい気分だ!!

(つづく)

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【お薦め本】『クモのイト』(中田兼介著 ミシマ社)

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▼私のシロウト「クモ学」は、偶然にも2013年の夏にコガネグモの「狩り」を目撃したことによってはじまった!!
 それまで、ことさらにクモの存在すら認識したこともなかった。いや、無意味に「いやなヤツ」ぐらいの認識があったかも知れない。
 しかし、このときをきっかけにコガネグモ、ゲホウグモ、ジョロウグモ等などこんなに面白くて「ふしぎ!?」生きものが、一緒にに暮らしていることを知った。
 知れば知るほど「ふしぎ!?」がふえてきて面白かった!!
 誰かはやく『クモはすごい』を書いて欲しいと願いつづけていた。

◆「クモ学」のすすめ


▼私は間違っていた!!
 やっと気づいた。
 私のアンテナが低くなっていただけだった。
 すでに待望のその本は出版されていた。それが今回の【お薦め本】だった。
 
◆【お薦め本】『クモのイト』(中田兼介著 ミシマ社 2019.9.26)

待望のこの本は、期待以上に面白かった!!
あまりに面白いので、いっきょに読めた。
お薦めポイントもいっぱいありすぎて、いつものように3つにしぼるのはむつかしかった。
でも、やっぱり3つにしておこう。

(1)私の「クモ学」の世界をより豊かに面白くしてくれた!!
(2)等身大のユーモアたっぷりの語り口調がうれしい!!
(3)今年のクモたちとの「出会い」を楽しみなものにしてくれた!!


▼では少しだけ詳しくなかみにふれてみましょう。

(1)私の「クモ学」の世界をより豊かに面白くしてくれた!!
 少しだけといっても、60歳台になってからはじめた「にわかファン」とちがって、本格的な専門家です。
 「へーそうだったのか!!」と驚きナットクすることばかりだった。 
 当然、シロウトの私のレベルとはちがうが、共感できるところも多かったです。
 たとえばこうです。

 クモの魅力とは何でしょう?クジラのように大きくもない。鳥のように美しく鳴くわけではなもない。イヌのように懐くわけでもない。魚のように美味しいわけでもない。クワガタのようにカッコよくもない。
 私が思うに、クモの魅力は、その賢さと複雑さにあります。クモは他の動物を襲って生きている捕食者です。うまくエサを捕らえるために、糸を使ってワナを仕掛けたり、オトリを使っておびき寄せたり。多彩な技を繰り出すために、経験から学び、未来を予測して柔軟に生き方を変えていきます。その様子を見ていると、クモに意図があるように見えてきます。この世界はクモの意図に満ちあふれているのかも。 
 そんなクモには、私たち人間と重なる部分もありますし、よく似ているようでまったく異質な部分もあります。ですから、ずっと見ていると、自分たち人間の生き方が決して唯一絶対のものでなく、実はいろんな可能性の一つに過ぎなかったんだと気づかされます。この信じて疑っていなかった世界が崩壊するような感覚を覚える瞬間は、一度体験すると病みつきです。私にとってクモの魅力はここにあります。(同書P7より)
 
 まったく同感です!!
 私も、ずっとこれが言いたかったです。
 でも、まったくのシロウトの私には、知識もコトバもなかったです。
 だから、『クモはすごい』をはやく誰かに書いて欲しかったのです。

 私のシロウト「クモ学」の世界は、自宅から半径数㎞の限られた範囲だけでのものだった。
 むしろ最も身近にこそ、その最大の「ふしぎ!?」があると主張していた。
 しかし、それは広い世界のことを知らなかっただけのことかも知れない。
 この本を読んでいると痛切にそう思い始めていた。
 例えばこうです。
 

クモ、日本人より先に宇宙を飛ぶ
 NASAというと、宇宙開発です。そして、クモと宇宙は切っても切り離せない関係にあります。なんといっても、これまで十六個体のクモが宇宙旅行をしているのです。ちなみに宇宙を飛んだことのある日本人は二〇一九年時点で一二人しかいません。
 クモが最初に地球の重力のくびきを離れたのは、日本人に先駆けること二十年近くなる一九七三年のことでした。(同書P27より)

 「重力」のことは意識したことはあるとは言え、「宇宙」のことまで考えていなかったです。いつも下向きにネットに待機して「狩り」をすることは観察により知っていても、「重力」と関係を深く追求することはなかったです。
 関連して、こうも教えてくれています。

 クモの世界の大法則が成り立つのは、下のほうがエサをとるのに都合がよいからです。私たちは重力のある世界に棲んでいるので、上へのぼるより下へおりるほうが速く移動できます。ですから、クモは下にかかったエサを捕まえやすいのです。
 私たちが商売するとき、お客さんがよく来る場所には大きな店を開くように、クモもとりやすい方向に網をひろげているわけです。下を向くのも同じ理由で、エサがとりやすい下を向いてあらかじめ好機に備えています。(同書P79より)

 なんというアタリマエ!!
 もっと驚くのはこのアタリマエにさからうクモもいるという!!
 ことさように、専門家だからこそ知るうんちくが次々と出てくる。
 それが実に面白い!! 
 私がこれまで知っていた「クモ学」の世界をどんどん豊かにふくらませてくれるのだ。
 いっぱいその具体例がありすぎて、ほんとうにきりがないが、もうひとつだけ例をあげておく。
 クモ流、おびき寄せの術
 クモはただ網を仕掛けてエサが来るのを待ちぶせる受け身一辺倒の生き物ではありません。エサをだまして、おびき寄せることもこともします。クモの網は、材料の糸がとても細く、光をあまり反射しないようになっているのに、その中心部には、いろいろな形の、糸でできた目立つ飾りがついていることがあります。
 この飾りを作る糸は、たて糸とも横糸とも性質が違っていて、昆虫が見ることのできる紫外線を中心に、光をよく反射します。一説によると、この目立つ飾りとクモのからだの色や模様があいまって、私たちほどに目のよくない昆虫からは、花のように見えるのだそうです。ハチのような昆虫はこの偽物の花に引き寄せられていきます。そして、ハッと気づいたときはすでに遅し、網にぶつかってしまいます。(同書P81より)

 ずっと「ふしぎ!?」に思ってきた「飾り=隠れ帯(今はあまり使わないコトバらしい)」の謎解きもしてくれているのです。やっぱり「クモはすごい」デス!!
 

(2)等身大のユーモアたっぷりの語り口調がうれしい!!
かつて延原肇先生(高校教師・生態学者)は言った。
「ミミズの身になってミミズをみる」と。 
それを合点的に肯定できる一言だと、あの庄司和晃先生は絶賛していた。
この著者は、最後の最後にこう書き記していた。

 クモを見ていると「何を考えているんだろう」と思います。人間を見ているときに考えるのと基本的に同じです。経験で変わり未来を予測する、柔軟で複雑な心があります。本当か?と問い詰められると、うううと困ってしまうのですが、ともかく眺めているとそう言いたくなる気持ちを抑えられません(動物行動学では、対象を人になぞらえて理解しようとするのは抑制的であるべきとされていて、私もその意味はよく理解できるのですが、一方で人間が世界を理解するやり方とはそういうものであろうとも思います)。本書のタイトルは、そんなクモの心を「イト」=「意図」として表現しています。
 もちろん「イト」は、クモの最大の特徴である「糸」でもあるわけです。糸を世界に張り巡らせる。心のあるクモ。そんな二つの「イト」に満ちた世界を、健やかなまま息子の世代に受け渡せれば、この本がささやかでもその役に立てればな、と願っています。 
(同書P195より)

 著者の「イト」はみごとに成功しているようです。
 始終一貫して「クモの身になって、クモをみている」のです。
 それも、等身大のユーモアたっぷりの語り口調で書かれているからうれしいですね。
 とりわけ後半の
第5章 クモ的思考 その1 個性って?
第6章 クモ的思考 その2 コミュニケーション上手になりたい
第7章 クモ的思考 その3 不確実な世の中をサバイバルする
 が面白いですね!!


▼最後に行きましょう。

(3)今年のクモたちとの「出会い」を楽しみなものにしてくれた!!
 正直に言いますと、最初にコガネグモの「狩り」に出会ったときのような新鮮な感動がうすれてきていました。
 最初は「こんなスゴイやつたちと一緒に暮らしてきたんだ!!」と、会う人ごとに熱く語っていました。
 ところが、最近ちょっと…!?
 著者はちがいました!!著者の「クモ愛」は徹底していました。
 こんな調子で語りかけてくれていました。
 

やっぱり親愛なる隣人
 ということで、もしもクモがいなくなったら、この世界は大きく様変わりしてしまいます。私たちの日常生活では、クモの存在が意識にのぼってくることはあまりないかもしれませんが、そこはやっぱり親愛なる隣人なのです。
 私たち人間とはまったく違う進化の道筋を経てきたクモ。その生きる論理には、私たちと大きく重なる部分も大きく違う部分も両方あります。
 わかりあえることはないけれども、完全に異質というわけでもない。こういう存在が身近にいてくれるのは、とても素敵なことだと思います。
 もしもクモがいない世界になったりしたら、それはつまらないものだ、と思いませんか?
(同書P191より)

 この本を読んでいると「クモ愛」が復活してきそうです。
 例年よりはやくあたたかくなってきています。
 さあ、「親愛なる隣人」=クモたちもそろそろ活動を開始しているかも知れません。
 今年はどんな「出会い」があるのか、とても楽しみになってきました。

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「天気の変化」を科学する (22) #天気の変化 #科学する #Webテキスト #エマグラム #持ち上げ凝結高度 #自由対流高度 #平衡高度 #エマグラム鉄道物語

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Webテキストミニ試案「エマグラム~エマグラム鉄道物語~」をつづけよう。
 いよいよ「物語」は佳境に入る。

(2)「上り」列車に乗って旅に出よう!!

a 持ち上げ凝結高度
 出発駅での乗客数は、「等飽和混合比線」をみればわかる。その数は「乾燥断熱線」を走るあいだは変わらない。
 「上り」列車は高くへ高くへと走る。
 ある高さのところで「等飽和混合比線」と「乾燥断熱線」は交わるんだ。
 ここで「定員一杯!!」の信号が出るんだ。これ以後は列車は「湿潤断熱線」の線路を走らなければならない。
 「定員一杯!!」の信号の出た駅のことをプロたちは「      」とよぶらしい。
 列車がさらに上がっていけば、あふれた乗客(水蒸気)は、列車から降りてもらうことになる。
 列車から降りた乗客は団体さんになって「雲粒」になる。降りた場所が温度が低ければ「氷晶」になる。
 つまり「持ち上げ凝結高度」は雲の底!!
 「持ち上げ凝結高度」駅を過ぎたら、車窓からの景色はどのようにかわるだろう。


▼さらに列車は上がっていく。

 b 自由対流高度
 「湿潤断熱線」を上っていくと、列車のスピードがぐんと変わってくる地点があった。
 そこは列車のなかの温度と列車の外の気温とが逆転する地点でもあった。
 そこからは、列車のなかの温度の方が高い!!
 熱気球がグングン上にあがっていくように、列車はスピードをあげた。
 乗客(水蒸気)はどんどん降りはじめた!! 降りた乗客たちは団体になって雲になっていった!!
 この地点を「      」とプロたちはよんでいた。

 この地点を過ぎたら、車窓からの「雲見」の景色はどのようにかわるだろう。


▼さらに上へ、そして

c 平衡高度
 車窓からのドラスティクな「雲見」をしばし楽しんでいるとまたまた様子がかわってきた。
 外の「雲見」の景もそうだが、気づけば列車内の乗客(水蒸気)は、ほとんど降りてしまっていた。
 列車内の気温と外の気温が再び逆転する地点。
 ここからは列車は上らなくなってしまった。
 その地点を「     」とプロたちはよんでいた。
 それが地上から見る雲頂でもあった!!


▼そして、列車は「下り」に切り替わる。

(3) 乗客(水蒸気)のいなくなってしまった「下り」列車はどの線路で降りてくるのだろう。

 
 「エマグラム」鉄道の「雲見」の旅もなかなか面白いぞ!!
 さあ、今すぐあなたも 列車に!!

 これは、私たちの暮らす「大気の物理学実験室」での仮想実験物語である!!

(つづく)

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「天気の変化」を科学する (21) #天気の変化 #科学する #Webテキスト #エマグラム #乾燥断熱線 #湿潤断熱線 #等飽和混合比線 #エマグラム鉄道物語

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Webテキストミニ試案「エマグラム~エマグラム鉄道物語~」をつづけよう。
 実はここからが、この試案のいちばん気に入っているところだった。
 
●一見複雑そうな「大気の物理学」を「中学校理科」で読み解く!!

 この「物語」は私が勝手に創作した!!
 私自身が、間違った認識の部分があるかも知れない。
 気づかれた点があれば、ぜひ指摘してほしい。よろしくお願いします。

▼では、はじめます。

3 エマグラム鉄道物語(その1)

※「ラジオゾンデによる高層気象観測(気象庁)」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/upper/kaisetsu.html
※「エマグラム(SunnySpot)」
https://www.sunny-spot.net/emagram/
のページを開いておいて考えてみよう。

 「エマグラム」はどこか列車のダイヤグラム(列車運行図表)と似ていますよね。そこで、ここからは仮想の「エマグラム鉄道物語」として、 「エマグラム」を読み解いていきます。
 走る列車は
 「水蒸気を乗せた大気水蒸気列車」!!
 さあ、あなたも この列車に乗って「雲見」の旅に出よう!!

▼これまでにわかってきた、アタリマエの「科学」で読み解いていこう。

(1) 「エマグラム」3本の線を「エマグラム鉄道物語」で読み解いてみよう。

 a 等飽和混合比線=この列車の乗客(水蒸気)の定員数を示す線。
 「定員」は温度によってきまっている。温度が低くなると定員は(    )なる。


▼次がこの「物語」のミソだ!!

 b この「大気水蒸気列車」が走る線路は2種類あった。

 ●乾燥断熱線=乗客(水蒸気)が定員一杯になるまで列車が走る線路。
 この線路を走っているあいだ停車駅はないので乗客の乗り降りはない。つまり乗客(水蒸気)の数は変わらない。

 ● 湿潤断熱線=乗客(水蒸気)が定員一杯になって以後列車が走る線路。
 この線路を走るとき乗客(水蒸気)はその都度列車から降りてもらわねばならない。
 列車から降りた乗客(水蒸気)は「団体さん」になって「   」になる!!


(つづく)

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「天気の変化」を科学する (20) #天気の変化 #科学する #Webテキスト #エマグラム #乾燥断熱線 #湿潤断熱線 #等飽和混合比線

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Webテキストミニ試案「エマグラム~エマグラム鉄道物語~」をつづけよう。

2 エマグラムを読み解く

「ラジオゾンデによる高層気象観測(気象庁)」のページをあけておいて、考えてみよう。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/upper/kaisetsu.html

(1) エマグラムの縦軸・横軸は何を表しているだろう。
  ・縦軸…(   )
  ・横軸…(   )

 <ルール>高度が高くなると気圧は(   )
              気温は(   )
 

 どこまでもわかったアタリマエを確認しておこう。

▼使われている「科学のコトバ」に迷わされずに、ゆっくり考えみよう!!

(2)「乾燥断熱線」はどんなことを表しているだろう。

(3)「湿潤断熱線」はどんなことを表しているだろう。
  「乾燥断熱線」とのちがいはどこだろう。
  それはどうしてだろう?

  a 気体「ビュンビュン」から→液体「フラフラ」へ
    水蒸気(気体) → 雲(液体)
    そのときエネルギー(熱)は 「 」という。

  b グラフの傾きに注目だ!!


▼次も同様に!!

(4) 「等飽和混合比線」とは何を表しているのだろう

  ●「飽和混合比」とは
   乾燥空気1㎏に対して、お腹いっぱい含まれる水蒸気量(g)


▼さあ、ここでのメインだ!!

 (5) 具体的「エマグラム」図を見ながら考えてみよう。

  ●「エマグラム(Sunny Spot)」
   https://www.sunny-spot.net/emagram/


   ・太い実線(赤)は 「  」
   ・破線(青)は 「  」
   a 「気温」状態曲線で上空の「気温」はすぐわかる!!
   ・1500 m → (  )℃
   ・3000 m → (  )℃
   ・5700 m → (  )℃
   ・9600 m → (  )℃

   b 実線(赤)と破線(青)が近づいているところはどんなところ?
   「気温」と「露点」が近い!!
   「腹一杯」が近い!! → 「    」ができやすい!!

    アタリマエ!!

   c 全国各地の「エマグラム」を見てみよう。


  一見、複雑そうな話も ゆっくり考えると、アタリマエの「科学」から!!

(つづく)

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